アニメ「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」は、スパイである主人公とその家族が、受験や世界各地の危機に直面しながら活躍するスパイアクション+ホームコメディ作品です。
物語は、見知らぬ3人が自分たちに有利なように偽の家族を作るというものです。お互いの素性を隠した偽の家族ですが、まるで本当の家族のようになる姿に魅了される読者も多いようですよ。そんなスパイファミリーですが、物語にはまだまだ謎が多いのです。
本記事では、「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」の物語の舞台やモデルとなった国、組織のモデルについて考察し、押さえておきたい背景を解説します。
アニメ「スパイファミリー」の舞台は実際に存在する?モデルになった国や都市は?
「スパイファミリー」は、過去に戦争を経験し、その後も冷戦状態にある東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)という2つの国が舞台です。
しかし、一見平和そうに見える東西の関係も、実は冷戦の真っ只中にあり、再び戦争が勃発する可能性もある。特に、東国(オスタニア)は水面下で西国(ウェスタリス)との戦争を画策している。
「スパイファミリー」は、そんな世界の国々が水面下で激しい情報戦を繰り広げていた時代の物語です。
100種類の顔を使い分ける凄腕スパイである主人公ロイドが、平和を脅かす危険人物の動向を探る極秘任務を命じられるところから物語は始まります。
西国のスパイであるロイドは、任務のために東国で家庭生活を営まなければならなくなります。
東国の正式名称は「東人民共和国」。原作漫画第1巻に収録されている第3話では、ロイドが住む東国のアパートが、東人民共和国 首都バーリント 公園通り128であることが明かされています。
「東人民共和国」も「首都バーリント」も現実には存在せず、原作者の遠藤達哉氏はこの物語を「架空の国」の話であるとコメントしています。
「冷戦」「東」「西」という言葉から、冷戦下のドイツが連想されます。物語の中で「東西の間に鉄のカーテンが下りる」という表現があるが、これは間違いなくかつての西ドイツと東ドイツをモデルにしているのではないでしょうか。
また、「スパイファミリー」で使われている通貨は「ダルク」と「ペント」である。ユーロ導入前のドイツでは「マルク」と「ペニヒ」という通貨が使われており、名称が似ている。原作漫画6巻の第36話では、300ダークを「※約10万円」と表現していました。
アニメ「スパイファミリー」はいつの時代がモチーフ?年代は?
「スパイファミリー」の物語には、スマートフォンなどの最新デバイスは描かれていないので少し前の時代が舞台なのではないでしょうか。漫画第6巻の背表紙とカバー折り返しに記された作者のコメントで遠藤氏は「スパイファミリー」の時代設定について、「この漫画の世界は何となーく1960〜70年代くらいの時代を想定して描いているのですが」とコメントしています。
また、遠藤氏と担当編集者の林士平氏による対談では「作品内では厳密に年代を設定していないが、携帯電話が出てくるのはアウトな世界観」と語られています。
アニメ「スパイファミリー」で使用している言語はどこの国の言葉?
「スパイファミリー」に登場するお店の看板やポスターには英語が使われています。従って、漫画の登場人物の第一言語は英語であると推測されます。
一方、漫画5巻の26話で、アーニャが勉強している本のタイトルは「BIOLOGY OF YOIKO」であり、学校の黒板には「HOSHU」と日本語がローマ字で書かれている。「スパイファミリー」の登場人物の使用言語として、英語と日本語が混在している可能性もなくはないが、これはいわゆる「遊び」の部分で、日本語(ローマ字)が使われているのかもしれない。
スパイファミリーの舞台の組織のモデルは?
次に、スパイ系に属する組織を詳しく見ていきましょう。
先ほども述べたように、スパイファミリーの世界観は東西ドイツをモデルにしており、登場する組織も旧ドイツを思わせる特徴を持っています。
ロイドが所属する「WISE(ワイズ)」のモデルは?
WISEとは、ロイドが所属する西国情報局の対東課の通称です。
東国に潜入して現地の情報を収集し、地下組織の解体、テロの防止、戦争の火種となる要因の排除を主な任務としています。現在、同機関が特に注目しているのは、戦争の引き金となりうる東国の重要人物、ドノバン・デズモンドの動向です。
WISEという組織のモデルは、おそらくドイツの情報機関である連邦情報局(Bundesnachrichtendienst; BND)であったと思われます。この組織は、政治・経済情報の収集とその分析・評価を任務とし、諜報活動のためにスタッフを海外に派遣している点で、WISEと似ています。
ヨルが所属する「ガーデン」のモデルは?
ガーデンは、ヨルが所属する組織で、その名の通り、本社には庭と呼べるような広くて美しい庭園があります。その庭の管理者であり、ガーデンのトップは「店長」と呼ばれ、常にヨルに仕事を割り振っています。
主な活動は暗殺で、東国の平和を乱す者、ヨルの言う「売国糞野郎」を排除するのが仕事である。また、暗殺だけでなく、要人や重要人物の護衛もヨルの仕事ですね。
ガーデンは、国家組織ではなく実在の組織を見つけることは困難です。どちらかというと国家からの委託を受けたり、裏方の組織という感じで、現実にガーデンのような組織があったとしても、一般の人はその存在を知る由もないでしょう。
ユーリが所属する「SSS」のモデルは?
ヨルの弟であるユーリが所属する国家保安機関であるSSS(STATE SECURITY SERVICE)という組織があります。
SSSの任務は東国の治安維持で、国内のスパイ狩りのほか、他国に情報を売る情報屋(スティンカー)の拘束や市民の監視などを行っています。治安維持組織でありながら、その活動は極めて過激で、人身売買の際の暴行、脅迫に類する尋問、過剰な拷問、さらには民間人に対する盗聴など多岐にわたります。SSSはまだ大量殺戮にまでは至っていませんが、東国の情勢によっては今後さらに過激な組織となる可能性がありますね。
SSSは、おそらく略称もよく似ているヒトラーの時代に存在したドイツの親衛隊「SS(Schutzstaffel)」をモデルにしているのではないでしょうか。SSはヒトラーのボディーガードとしてスタートしました。ナチスが政権を握るとその権力と規模は拡大し、当時の治安や諜報に関わる組織のほとんどを掌握することになりました。
アニメ「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」の舞台、モデルになった国の考察まとめ
今回「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」では、舞台のモデルになった国や地域、組織のモデルについて説明しました。
アニメ「スパイファミリー」は、冷戦時代の東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)という架空の2つの国が舞台になっています。舞台背景や、使用されている通貨の名称がユーロ導入前のドイツと似ていることから、ドイツがモデルである可能性が高いようです。「スパイファミリー」の世界観が冷戦時代の古い国をモデルにしているためか、ストーリー展開や政治描写が非常にリアルですね。
今後の「スパイファミリー」の展開に注目ですね。